「立身出世」。この言葉に憧れた人は多いはず。そしてこの言葉で想像する職業には弁護士も入っていたはずだ。今この職業は変革の過渡期にある。「この新制度はロースクール(法科大学院)に通える子弟にはプラスになると思うけど、社会全体にとっては逆転のチャンスが減ってしまうんでマイナスだと思う。これは大方のロースクール生に共通した感覚だと思う」。そう語るのは、現在法科大学院2年生の寺内悠さん(25)だ。
(文責:保科時彦)
一体司法試験制度はどう変わったのだろうか。「もともとは法曹の絶対数を増やそうという構想のもと、質を担保するために、専門教育を施された人だけが司法試験を受けられるようにする、という話。構想当時は新司法試験の合格率は8~9割、つまり医師国家試験の合格率と同じ数字を想定していたんだけど、今の実状は3~4割程度。まだ施行されたばかりだから今後なんとも言えないけど」。確かにこれは大きなシステム変化だ。「既修者2年、未修者3年の修業年数になっていて、自分は一応既修者なんだけど、一から鍛えなおす為に未修者3年を選んだ」。
そんな寺内さんはもともとロック好きのフェス太郎で、ライヴ、コンサート、フェスと気になるものはかなり積極的に参加していた。しかし司法試験に合格するまでは学校の椅子に穴が開くまで、家の座布団が破れるまで勉強する羽目に。「もともとドテラ被ってがり勉するタイプではないんだけど、今まで大した努力したことないし、このまま何のバックボーンもなく社会に出るのは怖いので、しっかり勉強しなきゃという気持ちが強い。今は25歳にもなって仕事をしていないことに対する後ろめたさはあるけど、努力が目に見えて報われる職業でもあるし、使命感で乗り切ってる」という。「確かに同世代の人たちとの立場の差は感じている。まあこれは自分のせいなんだけど」と色々なプレッシャーも背負っている。しかし、その情況を引き受けてまで弁護士を目指す動機は何なのだろうか。
「仕事の幅が大きいっていうのもあるけど、やっぱり第一には弁護士は社会のマイノリティーを救うことができる職業だからだと思う。今は医療過誤訴訟系の弁護士になりたい。当然患者側に立つ方で。金にはならない訴訟だけど、患者の人生にとっては大きな影響力のある仕事だと思う」。
同じ弁護士でも企業コンサルタントや離婚訴訟系ではなくこの分野を選んだのは何故だろうか。「倒産処理や離婚訴訟と比べて医療は状況が明確じゃないので、問題点を見つけていくことから仕事が始まる。社会の役に立つという意味では、企業コンサルタント系の弁護士も同じだということに最近気付いて揺れてるっていうのも事実だけど、医療は金にならないからやりたがる人が少ないんで」。
しかし、法科大学院の学費は安くない。年間130万~150万。アルバイトなんて当然していられる状況じゃない。「確かに今自分の満足度は100%。でもこれは親への有り難さと後ろめたさが表裏一体の100。医者のように法曹まで親の財力で地位が固定化されていくのは正直どうかと思う」。
さらに、「新司法試験受験資格はロースクールを卒業した人で5年以内3回しか受けられない。3回落ちた人はもう一回ロースクールに新たに入学し直して卒業しなければならいけど、これは事実上殆んど無理な話でしょ。まあこうやって引導渡すことが司法浪人への社会復帰を促す救済である側面もあるけど」と乾坤一擲を許さない新制度の構造を説明する。
そんな生活も長くて後6年、早ければ2年で解放される。弁護士になったらさらに忙しいかもしれないが、両親に恩返しすることもできる。「とりあえず、早く笑顔でフジロックに復帰したい。自分にとってはフジが正月みたいなもの。今は正月おあずけされている状態なんで」。近い夏に思いを馳せ髭面が破顔一笑する。
レスポール・スタンダード
(ギブソン)
今はこれしか持っていないし、飽きたこともあったけど、持ち続けていると愛着が湧いてくる。
音は本当はテレキャスターの方が好きだけど、レスポールの滑らかなラインが好き。
【略歴】1982年1月7日生まれ 25歳 栃木県栃木市出身 東京都杉並区在住 栃木市立寺尾中央小→同市立寺尾中→栃木県立栃木高校→一浪→日本大学法学部→一浪(契約社員)→専修大学法科大学院 現在2年在学中【星座】山羊座【血液型】O型【家族構成】父母妹【趣味】音楽を聴く、演る(キタナイロック系)【好きな食べ物】松屋の豚丼【嫌いな食べ物】レーズン【お気に入りスポット】吉祥寺周辺(東京都武蔵野市)【尊敬する人】両親【座右の銘】量より質【好きなタイプ】自分を分かってくれる人【嫌いなタイプ】自分は極端なことやっているという意識のある人【子どもの頃の夢】警察官












